南売市保育園2020.06/青森県八戸市
決して広くはない園庭の中で空間が鉄製大型遊具によって占領されてしまい、遊具の本来の趣旨に反して遊びのスペースを奪っている状況にあった。それが故に、保育の展開が広げづらかった。
そこで提案では、出来る限りスペースの確保を優先しながら、スペースが緩やかに繋がって行く様に場の構成づくりを心がけた。
まずは園舎内の在り方を読み解きながら、室内と関連づいた各々の庭に役割を持たせる事から始めた。それぞれのスペースを整理しながら配置計画を立て、決まりきらない遊びを誘発する環境的な仕掛けのある遊具のコーナー計画を施し、保育と連働する事で遊びが豊かになっていく事を一つの「ねらい」とした。
更に、先生方からは幼少期の遊び経験をヒアリングし、園庭での型(ガーデン型/多様な運動誘発型/コーナー型)を分類をしながら、新たな園庭のデザイン要素として取り入れていった。
先生方からのヒアリングでは、多く共通して植物で遊んだ経験や川で遊んだ経験など、自然を通じて学び得た経験談が多かった事から、自然を通じた遊びが発展していける環境が主体となった園庭となっている。
今回の園庭では、特に物的環境が完成しただけでは決して成立し得ない環境を意図して作り上げている。
保育者が子どもの遊んでいる姿を見守りつつ、人的環境として関わっていく事で、子どものくらしが環境としてより深みを持ち、豊かな経験を育める場となることを「ねらい」とし、又、そうなっていく事を設計者としては切に願っている。