BLOG
2022.03.15

園庭をデザインする。 〜離れ・特別な場所〜

9.離れ〜特別な場所〜-02

園庭に、園舎とは別の場所で、大人の眼や集団を気にせずに居られる「離れ」の様な特別な場所を計画します。

園での生活は、多くの子が初めて集団生活を経験する場所でもあります。
家族とは別の人とのコミュニケーションに胸躍らせる子も居れば、それがストレスとなる子もいます。人との距離の取り方は、日々の生活を通じて身につけていくので、個々人の性格や育ってきた環境によってもそれぞれに違いが表れます。
それがゆえに、集団とは別の活動が受け入れられる様な場所が必要となってきます。

園庭の中においても集団を感じさせず、占有感を得られる様な環境を計画していきたいと考えています。

「安心すると…離れて行く。」

不安で泣いている子どもは、大人の胸に抱かれ、しばらくすると安心して、そこから離れて行こうとします。群れをなす小動物も同じ行動をします。天敵が近くに居るとそれぞれが近づき、群れとして大きく見せようとしますが、天敵が離れていくと、その群れからある一定の距離感で離れた行動をする様になります。つまり安心感を得ると離れて行こうとするのが本能的な行動であるとも言えるようです。
大人から一定距離で離れようとする行動は、子どもにとっては「安心」の表れでもあり、その環境は「安定」していると言えるのかもしれません。
保育者からしてみると離れた位置に子どもが居る事は一つの不安要素となってくるかもしれませんが、園庭に限らず、環境全体計画の中で「見通し」が効くように計画して行きつつも、集団とは離れた環境を用意しておく事で、「子どもの生活の中での安心」の選択肢が確保された環境となっていきます。
しかも、意図的にその場所に行く方法の難易度を上げ、繰り返し挑戦しないと行けない様な場所に「離れ」を設定することで、そこに行けた時の「達成感」が「自己肯定感」に繋がるよう計画するのも、園庭には大切なことだと考えています。 9.離れ〜特別な場所〜1-01