【トレーラーの部屋】2022.04/千葉県我孫子市
この園は「庭とともにある暮らし」を大切にした保育を実践している。
この保育思想の核となる「庭」をトレーラーハウスの空間においても表現し、かつ車としての機能的に要求される軽さを実現する事を考えた。そこで屋根を淡い光が入り込む膜屋根構造とし、膜屋根の下にはポリエステル断熱材を敷き込み、更に障子(ワーロンシート)で受ける事で、膜を通じた屋外からの光が断熱材を透過し、更に柔らかい光として、室内に居ても常に外の気配が感じ取れる空間となる事を意図した。
トレーラーハウスが常駐する場所は特に風が強く車体の側面方向からダイレクトに風を受ける事が予想された為、先ず構造的な補強という意味においても横風に抗する様に杉三層クロスパネルの壁を配す事を考えた。その壁に生活に必要なスペースを確保する孔(アーチ型の開口)を設けて内部空間を作り出している。この孔は子どもの生活空間として程よいスペース感となる様に細心注意を払いながら寸法を決めていった。
このプロジェクトによって幅2.5メートル以内というトレーラーハウス特有のルールの下、タイトな空間が中庭(ウッドデッキ)を介し複数のトレーラーが関係し合う事で「間」や「距離感」が生み出されるという発見もあり、新しいカタチの教室の在り方までも模索できた様に思う。施工:イーグルバレー