GK飯田橋2015.05/東京都
子どもが育つ施設での「園庭」が持つ役割はとても大きい。にも関わらず、今、多くの保育園では、それを公園で代替せざるを得ないのが現状でもある。
幼少期を通じた心身の発達を考えると、公園ではまかない切れない園庭での「経験」がもたらすことの多さに気付く。
園庭が持てないならば、保育室で園庭をつくってしまおう!というコンセプトを打ち立て、このプロジェクトはスタートした。
床には起伏を持たせ、人工芝で出来た地面の凹形状がそのまま砂場となったりと、遊びを誘発する丘や段差のあるデッキで構成している。
壁面は煉瓦•木•土によって構成し、園舎の外壁に見立てたデザインとしている。
煉瓦の壁には地形と同様にうねりをもたせ、躍動感のある空間となるよう計画するとともに、この積み方によって生じた凹凸を手がかりに壁面も登れるようアクティビティーのある壁面となっている。また、木の板壁と土壁の間にはジャングルジムを設け、立体的に遊べる壁面づくりを心がけた。
さらに、この園庭には「木」をモチーフにした鉄のアート作品を設けている。
この鉄のアート作品は、文字通り鉄棒であり、登り棒であり、木登り用の木でもあり、ロープを架ける事で物干しとしても作用する。
入口脇の手洗い+足洗い場の煉瓦積みは子ども達と協同で積むワークショップを開催した。ここを企画し、デザインし、設計し、造り上げてきた大人達から、これからの毎日をつくり上げていく子ども達へと環境を受け渡していく儀式のようでもあった。
子ども達の発想を受け入れながら、いつの間にか全ての感覚を使って身体を動かしてしまう空間でありたいという想いから、「えんてい」という新たな保育施設の在り方を目指し計画した保育環境である。
園庭計画面積:584.74㎡
設計期間:2014年12月-2015年3月
施工期間:2015年4月-2015年5月
竣工:2015年5月